銘苅三味線店に訪問してきました


念願かなって、ついについに、三線製作の第一人者である銘苅春政氏の銘苅三味線店に行ってきました(2015年6月中旬)。例年より早く、奇跡的に訪問した日に梅雨明けした沖縄。

気温31度の湿気がすごい状況でしたが、快晴。高鳴る胸を押さえながら那覇から車で向かうこと約50分。以前見かけたWebサイトで見た看板が出てきました!

銘苅三味線店はWebサイトに住所が記載されていないため、住所を知らないと行くのが難しそうなところ。

 

私はとあるルートから住所を幸運にも知ることができたので訪問できましたが、知らないと行くのはなかなか難しいと思います...。


ただ、あの距離であれば仮に東京から日帰りで沖縄を訪れても伺える距離でした。南風原町を通って南下し、那覇からいくと途中でひめゆりの塔などの看板が見えました。


そしてついに到着!

この看板を見ただけで銘苅三線を持つ身としては興奮しましたが、さて、入り口はどこでしょう?若干入り口に迷う構造です。

 

ちなみにこの感じで察せられると思いますが、駐車場のようなものはありません。ちょうどこの写真を撮ってる真後ろに一台分ぐらいのスペースがあったのでそこに車を止めましたが、止めていいのかどうかわからない空気感です。

住宅街のなかにあり、付近の道路は狭いので注意したほうがいいですね。

 

とにもかくにも、若干入りづらい空気感なので躊躇する気持ちもあったのですが、ここまで来て会わないわけにはいかないと思い、勇気を出して突撃しました。銘苅先生は事前に電話してもなかなか出られないそうで、いるかいないかは運次第?なようです。


2~3分ウロウロしましたが、意を決して突撃。すると、おお!銘苅先生がいらっしゃいました。最初は誰あなた?という感じで怪訝そうな顔をされてましたが、前日にみなみ三線店で購入した銘苅先生の真壁を出すと、表情も和らぎ、三線を手にしばらく弾いていただきました!

そこから実は約2時間近くも居座ってしまうことになるのですが、三線製作の大事なことから、天の曲線の出し方、良い三線とは何かに始まり、バチの彫り方やちんだみの方法、弦の巻き方、三線を人前で弾く時の心構えなど、驚くほどいろんな話をしていただきました。もう全部メモしておけばよかったと後悔するぐらい、深い話の数々に感無量。

 

私の三線を細かくチェックしていただき、塗りの方法の解説や胴の張りと音の関係などを教えていただきました。

そして、しばらくお話頂いたところで、前からずっと気になっていた銘入れのことを聞きたいと思い、せっかくなので聞いてみました。銘苅先生の三線はご存知の通り高額です。一説では、自信作ほど名前+製作日+シールが貼られているとのこと。ただ、金字の銘入れがなく、シールだけのものも見かけるので、その差はなんだろうと気になっていたのです。

 


心に書かれた銘苅春政 銘入れは本当に自信作なのか?

しかも、幸か不幸か、私が購入した銘苅先生の真壁は製作者名と日付はあるものの、なぜかシールが貼られていない状況でした...。せっかくなので、勇気を振り絞ってシールを貼って頂けないかと頼んだところ、拍子抜けするぐらいあっさり「いいよ」と貼って頂けました!

 

そして、本題の名入れと製作年月日とシールの関係を聞いたみました。すると、ネットなどで一部書かれているすべてが揃っているのが自信作だ説は関係ないそうです。あれは誰かが値段を釣り上げるために作った話なんでしょうか?先生曰く、最近のものは全部金の塗料で名入れと製作年月日と所有者を記載し、シールも貼ってるとのこと。なぜ私の三線になかったかというと、単純に忘れただけのようです。

 

というのも、もともとは関西近辺で先生の三線を買ったと先生の工房へ持ち込まれたお客さんの三線を見た時に、先生が作ったものではなく、贋作だったことが事の始まり。贋作対策としてシールだけでなく、名入れもし始めたようです。ただ、何年前かわからないですが最初の頃はルールが曖昧だったようで、年月日があったりなかったりがあるようですね。


その贋作のシールを見せてもらいましたが、確かに銘苅春政と書いてあるものの、フォントと形状が異なる別物でした。いま思えば、その贋作シールも写真を撮っておけばよかったですね。また伺う機会があれば撮影してきます。

 

先日もヤフオクに銘苅春政作という三線が出されていて、シールがありませんでした。銘苅先生のものは基本的にシールが貼られているので、これは贋作じゃないのか?みたいなコメントが書かれてました。が、そういう物もあるんです。私の三線がまさにそうでしたから。そしてそれを見せてご本人に貼ってもらいました。

 

いずれにしても、すべて揃ってるのが銘苅先生の自信作説は一体誰が作ったんでしょうか?

"銘苅春政 名入れ" で検索すると、その説を記載している販売店が出てくるので是非検索してみてください。

 

そして、みなみ三線店で購入したものなため、所有者が記載されておらず、こちらも先生に書いてもらいました。

 


バチの先端は反っているほうが良い

三線談義からふと目を横に移すと、いくつか製作中のバチがあったので、バチについて先生に聞いてみました。

写真のピントが畳にあってますね、すみません。。

 

さて、銘苅先生曰く、「バチは滑ってはだめ、かかりすぎてもダメ、絶妙な角度と尖りが必要」とのことでした。そのためには、この写真のように先端がやや上向きに沿っているものが良いとのこと。ほんとにわずか1mmとか2mm範囲の調整をすることでこのような角度を出すそうです。すごいですよね。

 

海外産のバチはっほぼまっすぐでこうはなっていない、ということで家に帰って自分のバチをみたら、見事に全部まっすぐでした...。

 

ということで、ここもせっかくなので銘苅先生にバチの製作を依頼したら、引き受けて頂けました!完成がいつになるかわかりませんが、気長に待ちたいと思います。ものすごく楽しみです!

 


最後に、その他の写真達

念願叶った銘苅三味線店への訪問でしたが、山のように多種多様な話を拝聴できました。本当に感謝感激です。下の一番左の写真は、銘苅先生が男弦、中弦、女弦を巻きながら一つ一つカラクイが戻らない巻き方をご指導頂いた時の写真です。

そして、山のように積まれた棹の数々。手帳を見せていただきましたが、一ヶ月に何人もの人が木を片手に作成依頼に来られるそうです。あの量の木を見ると、永久に終わらないんじゃないかって心配になりました。先生自身の三線も作りたいようですが、いつまで経っても手がつけられないとのこと。棹の製作だけで全く終わらないぐらいの受注状況なので、もう塗りも張りも行えないとの話でした。なので、銘苅先生の三線を手に入れたい方は先生に直接頼むのもいいですが、みなみ三線店に行くほうが早いと思います。銘苅先生の棹が数本売られています。

 

それから最後に、銘苅三味線店は猫の王国でもありました。十数匹いるようです。話してる間も何匹も猫が入ってきて、猫好きにはいいかも。